日本で本格的にさくらんぼの栽培が始まったのは明治時代のこと。
明治元年、ドイツ人のガルトネルが北海道に六本のさくらんぼを植えた。その後、北海道を開拓する人達がアメリカなどから甘果桜桃(※1)の苗木を輸入し、これを東京で育て全国に配り、北海道や東北地方など梅雨期の短い寒冷地で土着した。
山形に初めてさくらんぼが入ったのは、明治八年。東京から、洋なし・りんご・ぶどうなどの苗木が送られてきた中に、三本の苗木が入っていたのだ。翌、明治九年には、初代の山形県知事が北海道からりんご・ぶどう・さくらんぼの苗木を取り寄せ、明治十一年には試験場などをつくりさくらんぼの生産は徐々に盛んになっていった。
※1 甘果桜桃(セイヨウミザクラ)
イラン北部からユーカサスを経てヨーロッパ西部までの山地に広く野生していた原種から、有史以前に栽培化された。栽培の最初は小アジア辺とする説もあり、またスイスの湖棲民族の遺跡からたねが発掘されるのでその地で栽培化の可能性も考えられている。ギリシャ時代には栽培の記録がある。