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さくらんぼは、果物の中でも特に手間と労力がかかるものとして知られています。そのさくらんぼ作りにおいて、山形県内でも特に質の高いことで実績のある村山郡山辺(やまのべ)地区。ここでは、さくらんぼ作り当初から質の高いさくらんぼを目指し、贈答用を中心に長年努力されてきました。今回ご紹介するのは、その山辺地区でも知る人ぞ知る、さくらんぼ作りのカリスマ的存在と言われる『村山悟(むらやまさとる)さん』の果樹園です。
村山さんは、現在山辺地区でさくらんぼ作りをしている農家の中ではいちばん長い間さくらんぼの栽培を続けており、実に40年余にもなるそうです。その長い月日の中で培われた技術と経験、そして何よりも一粒一粒への愛情がたっぷりと注がれた極上のさくらんぼ(佐藤錦)は、ご自身によって『玉姫』と名付けられました。この『玉姫』は、非常に高い品質を誇る逸品として、桐箱用としてだけに丁寧に育てられた特別な商品です。
さくらんぼ『玉姫』の魅力は、まずなんといっても抜群の糖度。通常のさくらんぼは17度前後ですが、玉姫は20度以上のものがほとんどです。食べた瞬間に口の中に広がる甘さは、酸味とのほどよいバランスとともに感動を与えてくれます。それからさくらんぼは食感も大事です。ルビーのように赤く美しく輝く表面にはパリッとした張りがあり、ひとたびかじるとはじけるように果肉が現れます。
おそらく、はじめて村山さんのさくらんぼ畑を見る人は、その実の付きかたがまばらであることに戸惑うかもしれません。しかし、このまばらな実り具合こそが村山さんのこだわりであり、おいしさの秘密なのです。
「さくらんぼは、日陰で育つと、ぶよぶよとした感触になってしまいます。太陽の光に当てることでパリッとした食感を出すことができるのです。そこで、一粒一粒にまんべんなく日が当たるように摘果をしなければなりません。その分、収穫できる数は減ってしまいますが、おいしいさくらんぼを作るためには必要なことなんです。」と村山さんは言います。芽かき(不要な芽を取り除くこと)の段階で芽を摘んでいき、実り具合を見ながら、ひとつひとつ手作業で丁寧に摘果していきます。こうして日の当たるようになったさくらんぼの樹は、あのパリッとした食感を生み出してくれるようになります。
また、間引きをすることで土壌からの栄養がたっぷりと行き渡り、糖度も抜群に高く、また大きな粒になることができるのです。村山さんのさくらんぼは、ほとんどが2Lクラスの大きさです。さらに消毒もできるだけ少なくするようにしているそうです。長年の経験と技術により、通常のさくらんぼの半分以下で済むようになったといいます。
樹は生き物であり、その年の天候の影響も大きく受けます。毎年やってみないとわからない、と村山さん。生き物と対峙することの難しさを身をもって体感していることが、言葉の端々から感じられました。
今では、誰も真似することができないカリスマ的存在と言われていますが、そんな村山さんも数え切れないくらいの失敗をしてきたと言います。なるべく自然の状態に近づけるために、水やりは1週間に1度ほどしか与えないそうですが、はじめの頃は水を遣りすぎて失敗してしまったこともあるそうです。実がやわらかく、斑点が付いたようなものになってしまったと。それから30度を超える真夏日にも苦しめられるといいます。
「いまもまだ試行錯誤しながらやってるんだよ。」と村山さんは笑いながら言います。40年のキャリアを持ちながら、毎日が勉強だと言うその笑顔からは、ほんとうにおいしいさくらんぼを作ることだけを考える職人の心が垣間見えるようでした。
そんな村山さんの手間と知恵と愛情がたっぷり注がれたさくらんぼ『玉姫』を、ぜひみなさまにお召し上がり頂きたく、ご紹介申し上げます。